2026年1月

 定刻を過ぎても舞台はなかなか幕を開けない。皆が今か今かと痺れを切らす。これも計算された演出だろうと一人平静を装っていると突然暗転。歴代のヒット曲が響き渡り、会場全体がどよめき全身ゾワゾワ。ステージには、キラキラ衣装をまとった世界の歌姫、マライヤ・キャリーがついに降臨!


 一瞬で会場全体を支配する声量と声色に撃ち抜かれ、脳天からつま先まで電流が走り、彼女の歌声が体に染みわたる。20代に聴いていた懐かしい曲を、まさか50代になって生歌で聴くとは。若かりし頃のおぼろげな記憶が自然と蘇る。


 子供の頃、歌も楽器も安定のポンコツで、音楽の成績は毎回底辺を彷徨っていた身としては、あの声量で気持ちよく歌い上げ、観客を虜に出来るなんて憧れでしかない。もし生まれ変われるのなら、圧倒的歌唱力で世界を熱狂させたい…なんて大それた妄想が止まらない。


 数十年ぶりのコンサートだったが、極上の生歌を体全身で浴びて、細胞一つ一つがハッピー状態。リアルは最高だ!

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